INTRODUCTION EXAMPLE



INTRODUCTION EXAMPLE

山下機械株式会社

Windowsベースの国産ERPパッケージをIBMiベースのクラウドでフルスクラッチ開発

グリッドの活用でフレンドリーな操作性を実現、レスポンスよく複雑な分析も瞬時に

SOFLA Report Back number

※当レポートは、初版を一部改訂し、バックナンバーとして再刊しています。
会社概要・記事の内容は取材及び記事作成当時のものです。
2017年12月発刊・2024年1月一部改訂

COMPANY PROFILE
本社 名古屋市熱田区
創業 1929年
設立 1951年
資本金 9,000万円
売上高 14,497百万円(2017年1月)
従業員数 102名
事業内容 工作機械と工具の販売・専用工作機の設計製作
URL http://yamashita-machinery.com

山下機械株式会社は、自動車や航空機産業などモノづくりの現場への工作機械や工具等の販売、及び専用工作機の設計製作を行っている商社である。1929年創業の歴史と盤石な経営基盤を有しており、愛知県名古屋市熱田区の本社と4カ所の営業拠点、海外にはアメリカ(シカゴ)・タイ(バンコク)・中国(上海) に出店し、お客様のグローバル展開をサポートしている。

同社が他の機械工具商社に見られない大きな特徴は、製造部門を持つ商社、つまり、メーカー機能を有する商社であるという点である。
量産部品加工マシンである「DRILLMATIC(ドリルマチック)」(図表1)・治具の統計製作を行う「JIGMAC(ジグマック)」・省人化、自動化に貢献する自動搬送システム「ROBOMATIC(ロボマチック)」の3ブランドを基軸に、お客様の求める品質・コストを可能とする技術を提供している。
この製造部門と営業部門のネットワークを駆使し、これからも、①生産技術のサポート・ ②工機代行・ ③設備保全サポート・④海外生産サポートを基本方針に、中堅製造業のものづくりのパートナーを目指す同社である。

Windowsベースのシステム継続にコストや運用性の問題が浮上

同社のシステム化は1997年、組合が推奨したパッケージソフトの導入からスタートした。その当時のものは工具販売に特化したものであったため、後に機械販売の引合(案件)管理を追加したという。次のシステムは2009年にWindowsベースの国産ERPパッケージ(旧システム)を導入。こちらも引合管理など相当量のカスタマイズをオーダーした。
5年後の2014年、WindowsXPのサポート切れ問題が発生し、多分に漏れず同社のシステムもWindows7への移行が必要という状況となり、その移行費用はカスタマイズの影響もあり導入当初とあまり変わらない事が判明した。そういう事もあり、システムの更改にあたっては、旧システムのベンダーを含めた各社コンペによる決定とし、ソフラも次期システムを提案する事になった。
同社システム担当者は当時をこう語る。
「実は旧システムを決定する時にもAS400が頭に浮かびました。当時はまだ価格が高かったようで諦めましたが、AS400の継続性には魅力を感じていました。 旧システムの開発を始めた直後に、ソフラが初めて営業に来たのですが、既にシステム更改に着手していたことから話を聞いただけで、ソフラとはしばらく疎遠になりました。今回の更新ではその時を思い出して声をかけました。」8社に声をかけた上で4社に絞り、最終的にはスクラッチ開発を提案したベンダーとソフラの2社に絞ったという。
「費用面ではソフラの方が若干高額でしたが、オンプレミスによる社内での運用に限界を感じていた事もあり、IBMiベースのクラウドとOSのバージョンに縛られずに長期間利用出来るという提案が魅力的でした。」さらに「ソフラの名古屋営業所でSOFLA iやSOFLA AGという開発ツールのデモを見ましたが、このツールであれば後々機能アップする際にも問題が発生しにくいだろうと安心感を抱きました。その後データセンターを見学し安心感がさらに深まりました。システム開発元がセンター運用を行っている点も安心材料の一つです。 」と語る。

2014年1月より稼動開始したソフラクラウドセンターは、JEITA((社)電子情報技術産業協会)が制定している “JEITA規格” の「情報システムの設備環境基準」に準拠しているほか、JQA((財)日本品質保証機構)より日本のデータセンターでは13棟目に「データセンター安全対策適合証明」を受けている。
また、JDCC(日本データセンター協会)が定めたデータセンターの基準 ”J-Tier”のTier3レベル(受電設備除く基準項目)に準拠。Tier3レベルは「地震や火災など災害に対して一般建物より高いレベルでの安全性が確保され、機器や設備に冗長構成の設備がありアクセス管理が実施されているデータセンター」と定義されている。同社システム担当者は「名古屋にも立派なデータセンターはいくつもあり見学にも行きましたが、大規模災害に備えて名古屋より少し離れた所にあるデータセンターを使いたい気持ちがありました。ソフラクラウドセンターのある姫路は姫路城が作られているぐらい地盤が強固であること、瀬戸内海側であること、市役所と大きな病院の間にあることなどから、この立地であれば災害時における揺れ・水害・電源喪失の心配は無いと判断しました。」と、独自の視点で評価している。

900本の新システムがわずか1年強でリリース。随所にソフラのインテグレーションが。

2015年5月、新システム開発プロジェクトはスタートした。概要設計完了が2015年9月、基本設計完了が同年12月、そしてプログラム開発完了が3月、現地調整期間を経て2016年8月に本稼働した。プログラム総本数は900本にのぼる販売管理システムだ。(図表2)
「これだけのシステムがわずか1年でリリースできたのには驚きました。正直2年ぐらいかなと思っていましたので。SOFLA AGでツール開発していた事もあるでしょうけど、何より、設計段階の問題分析能力の高さには驚きました。今でもそうですが、できそうになかったら代替案を出してくれます。ソフラの “こういうのどうですか?” にとても助けられました。」と、同社のシステム担当者は語った。
また、業務部担当者は「業務部の発注は多い時は1日2000件あります。新システムでは発注入力がグリッドからエクセル感覚でできるようになり作業効率が格段にあがりました。旧システムでは止む無くバッチ更新でやっていたのですが、列がずれたりしてエラーが出ると全部はじかれて原因解明にさらに数時間かかるというような状態でした。グリッドだと目で見てミスがわかります。倉庫の並びを変えるために1000件ぐらい棚番の付け替えをすると、旧システムで半日ぐらいかかっていたものが1時間位で完了しました。エクセルとSOFLAiを画面に並べて作業はコピー&ペーストで終わりました。」と。グリッドが業務に有効に活用されているようだ。
レスポンスの方は「特にマスター系の更新は非常に早くなったと感じます。」と業務部担当者。OPEN系のシステムではレスポンスが問題になることが多いと聞くが、ソフラは独自の開発手法でユーザーにストレスを感じさせないスピードを実現しているのがその理由である。

業務部担当者が最も評価しているのが帳票の条件設定の組み合わせの多さという。「仕事柄、資料を作ることが多いですが、自分のアイデア次第で様々な切り口でスピーディーにグリッドに表示されて帳票として出力できます。旧システムでは組み合わせは2項目まででした。例えば “部門と得意先と担当者で絞り込んで毎月の売上金額を表示する” この組み合わせができなかった。新システムでは画面に表示されている項目で自由に絞り込んで出力できるようになりました。」(図表3)

ソフラのインテグレーションは、お客様のビジネスを最大限に生かしつつ、多くの企業へのSIの経験をヒントに、あるいは新たなアイデアで工夫を凝らし、システムへフィードバックするのが特徴だ。
新システムの画面には「検索」ボタンが極端に少ない。それは、画面にたくさんの項目を表示したい為に項目名をクリックして検索できるようにしているからだ。また、商品の入力においても、品番あるいはEDP№の一部を入力してENTERキー又はTABキーを押下しただけで候補が表示される。(図表4)
また、同社の在庫評価は最終仕入原価法であるが、価格変更等で異なった金額を発生させたい時の為に別倉庫を活用する仕組みが組み込まれている。
そのほか、システムに引合い案件を登録したら、共有ファイルサーバーに案件番号と案件名のフォルダーを自動作成するよう連携した。営業がそこに自分達の見積や資料や議事録・図面のPDFなどを保管できるようにするのが目的で、この機能で個人管理であった関連資料の共有管理が実現した。

随所にソフラの “こういうのどうですか?” が生かされた同社の新システムであるが、最後に新システムの今後について伺った。「旧システムでは、やりたい事があっても共通項目だからできないだとかとても時間がかかったりでなかなか叶いませんでした。フルスクラッチの魅力はこういう問題が無い所にありますね。まだ本稼動して1年を過ぎたところですので、あと1年もすれば、素晴らしいシステムになりますよ。長く使いたいので、これから育てるつもりで少しずつ拡張していきたいと思っています。」